図面トレース vs 新規作成|どちらを選ぶべきか?判断基準を解説

製造業や機械設計の現場では、古い図面や紙図面を扱う場面がまだまだ少なくありません。その際に選択肢となるのが 「図面トレース」「新規作成」 です。
どちらを選ぶかによってコストや納期、完成精度に大きな差が出るため、判断基準を理解しておくことが重要です。

1. 図面トレースとは?

図面トレース とは、既存の紙図面やスキャンデータを基にCADデータを起こす作業のことです。
寸法や形状をそのまま再現するため、現物に基づいた設計情報を短時間でデジタル化できます。

メリット

  • 紙図面をそのままCAD化できる
  • コストが比較的安い
  • 元図面の設計意図を残せる
  • データーを活用することが出来る

デメリット

  • 元図面に誤差や破損がある場合、そのまま引き継いでしまう可能性がある
  • 大幅な設計変更や改善には向かない

2. 新規作成とは?

新規作成 は、製品や部品の寸法を計測したり、設計仕様を基に ゼロからCADデータを作成する方法 です。
既存の図面が不十分な場合や、設計変更を伴うケースで選ばれます。

メリット

  • 精度の高いCADデータを作成可能
  • 改善点や新しい仕様を盛り込みやすい
  • 不完全な図面や現物しかない場合でも対応可能

デメリット

  • トレースに比べて時間とコストがかかる
  • 設計仕様のすり合わせが必要になる

3. 図面トレースと新規作成、どちらを選ぶべきか?

図面トレースが向いているケース

  • 紙図面をそのままCAD化したい
  • 大きな設計変更が不要
  • コストを最小限に抑えたい

新規作成が向いているケース

  • 元図面が破損・不明確・不完全
  • 設計改善や改良を同時に行いたい
  • 高精度な3D CADデータが必要

4. 実際の判断基準チェックリスト

  •  元図面の状態は良好か?(YES → トレース / NO → 新規作成)
  •  設計の改良や修正を伴うか?(YES → 新規作成 / NO → トレース)
  •  納期やコストを最優先するか?(YES → トレース)
  •  将来的に3Dデータ化・解析を行う予定があるか?(YES → 新規作成)

まとめ

「図面トレース」と「新規作成」は、どちらが優れているというよりも 目的や状況に応じて選択するべき手段 です。

  • 元図面を忠実に再現したいなら「トレース」
  • 改良や新しい仕様を盛り込みたいなら「新規作成」

外注先に相談する際には、元図面の状態や用途をしっかり伝えることが、効率的で無駄のない発注につながります。

この記事が、図面トレースか新規作成かお悩み解消の一助となれば幸いです。

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