その図面、高くなっていませんか?「削りやすい図面」でコストダウンを実現する切削加工の基礎知識(20号)

■その図面、高くなっていませんか?「削りやすい図面」でコストダウンを実現する切削加工の基礎知識
「設計した部品の見積もりが、予想以上に高い」
「加工先から『この形状は難しい』と差し戻された」
設計者の皆様なら、一度はこうした経験があるはずです。実は、図面の描き方ひとつで加工コストは大きく変わります。今回は、加工現場の視点から見た「削りやすい図面(加工性に優れた設計)」のポイントを4つに凝縮して解説します。
■ 1. 「角R(隅アール)」の設定が加工時間を左右する
切削加工は回転する工具(エンドミル)で削るため、四隅を完全な直角(ピン角)に仕上げるには特殊な工程が必要です。

  • コストアップの要因: 角Rを極端に小さく指定すると、細く折れやすい工具が必要になり、加工速度を落とさざるを得ません。
  • コストダウンのコツ: 可能な限り大きなRを設定してください。使用工具径に少し余裕を持たせたR指定(例:Φ10の工具に対しR5.5など)にすると、スムーズな工具移動が可能になり、加工時間が大幅に短縮されます。
    ■ 2. 「深いポケット・深い穴」は避けるのが鉄則
    深い形状を削るには、長くて剛性の低い工具が必要になります。
  • コストアップの要因: 深さが直径の5倍(L/D比 > 5)を超えると、加工中に「ビビリ(振動)」が発生しやすくなります。表面の荒れや刃物の欠損リスクが高まり、慎重な作業が求められます。
  • コストダウンのコツ: 構造上可能であればポケットを浅くするか、貫通させて別部品と組み合わせる検討を。L/D比を3〜5以内に抑えるのが、精度とコストの好バランスです。
    ■ 3. 「加工基準面」を統一して段取り替えを減らす
    加工職人が最初に行う「原点出し(段取り)」の回数は、工数に直結します。
  • コストアップの要因: 寸法が各所からバラバラに入っていると、材料を何度も裏返したり固定し直したりする手間が増え、人件費が積み上がります。
  • コストダウンのコツ: 寸法公差の基準面を可能な限り統一しましょう。「1回の固定で削りきれる範囲」に寸法をまとめることで、精度も安定し、工賃も抑えられます。
    ■ 4. 「逃げ(ニゲ)」を賢く活用する
    どうしても角に四角い部品をはめ込みたい場合でも、ピン角を攻める必要はありません。
  • コストダウンのコツ: 角の部分にドリルなどで「逃げ」を作ることで、干渉を防ぎつつ、安価な標準工具で素早く加工を終えることができます。機能優先の箇所では非常に有効なテクニックです。
    ■ まとめ:設計の「一工夫」が利益を生む
    設計段階で加工のしやすさ(DFM)を考慮することは、コスト削減だけでなく、加工ミスや納期遅延の防止にも繋がります。
    「この形状、もっと安く描けないか?」「忙しくてバラシ図まで手が回らない……」
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