外注した図面の著作権や機密保持はどうなるの?

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【外注前に確認!】図面の著作権と機密保持:知っておくべき重要ポイント

機械設計や建築設計など、図面作成を外部に委託する際、気になるのが「作成された図面の著作権は誰に帰属するのか?」「機密情報はきちんと守られるのか?」といった点ではないでしょうか。これらの点は、後のトラブルを避けるためにも、契約締結前にしっかりと確認しておく必要があります。

本記事では、図面を外注する際に知っておくべき著作権と機密保持に関する重要なポイントを解説します。安心して外注を進めるために、ぜひ最後までお読みください。

1. 図面の著作権の帰属:契約内容が最重要

作成された図面の著作権は、原則として著作者である外注先の設計者に帰属します。しかし、契約によってこの権利の譲渡や利用範囲を定めることが可能です。

  • 著作権譲渡契約: 発注者側が著作権を買い取る契約を結ぶことで、作成された図面の著作権を発注者に移転させることができます。これにより、発注者は自由に図面を利用・改変することが可能になります。
  • 著作物利用許諾契約: 外注先が著作権を保持したまま、発注者に対して図面を利用する権利を許諾する契約です。利用範囲(用途、期間など)を明確に定める必要があります。
  • 契約がない場合: 明確な契約がない場合、著作権は外注先に帰属するため、発注者が自由に図面を利用するには外注先の許諾が必要となることがあります。

【重要なポイント】 著作権の扱いは、必ず契約書で明確に定めることが重要です。曖昧なままにしておくと、後々利用範囲などでトラブルが生じる可能性があります。

2. 機密保持契約(NDA)の締結:情報漏洩リスクを防ぐ

外注する図面には、企業の重要な技術情報やノウハウが含まれていることが少なくありません。情報漏洩のリスクを防ぐためには、機密保持契約(NDA:Non-Disclosure Agreement)の締結が不可欠です。

  • NDAの目的: NDAは、外注先が業務を通じて知り得た発注者の機密情報を第三者に開示したり、目的外に利用したりすることを禁止する契約です。
  • 盛り込むべき内容:
    • 秘密情報の定義(図面データ、関連資料、打ち合わせ内容など、どこからどこまでが秘密情報に該当するのかを明確にする)
    • 秘密保持義務(第三者への開示禁止、目的外利用の禁止、適切な管理義務など)
    • 秘密情報の返還・廃棄義務
    • 契約期間
    • 損害賠償に関する条項
  • 契約締結のタイミング: 外注の検討段階、遅くとも業務を開始する前にはNDAを締結しましょう。

【重要なポイント】 NDAは、企業の機密情報を守るための重要な法的根拠となります。雛形をそのまま使うのではなく、具体的な業務内容に合わせて条項を修正することが望ましいです。

3. データ管理とセキュリティ対策の確認

契約だけでなく、外注先が実際にどのようなデータ管理体制とセキュリティ対策を講じているかを確認することも重要です。

  • データ保管方法: 図面データはどのように保管・管理されるのか(サーバーの場所、アクセス制限など)を確認しましょう。
  • セキュリティ対策: 不正アクセスやウイルス対策など、具体的なセキュリティ対策について確認しましょう。
  • 情報持ち出しの制限: 図面データの持ち出しに関するルールや制限があるかを確認しましょう。
  • 担当者の教育: 外注先の担当者が機密情報保護に関する教育を受けているかを確認しましょう。

【重要なポイント】 口頭での説明だけでなく、具体的な管理体制や対策について書面で確認することが望ましいです。

4. 契約終了後の取り扱い:データの返還・廃棄

外注契約が終了した後、図面データや関連資料がどのように取り扱われるのかも確認しておくべき重要な点です。

  • データの返還義務: 外注先に提供したデータや、外注先が作成したデータの返還義務について定めておきましょう。
  • データの廃棄義務: 外注先が保有する図面データや関連資料の適切な廃棄方法について定めておきましょう。
  • 保管期間: 必要に応じて、データの保管期間についても定めておきましょう。

【重要なポイント】 契約終了後のデータ取り扱いを明確にしておくことで、不要な情報漏洩リスクを防ぐことができます。

まとめ:契約締結前に著作権と機密保持に関する取り決めをしっかりと

図面を外注する際には、著作権の帰属と機密保持に関する取り決めを契約書で明確に定めることが非常に重要です。曖昧なまま外注を進めてしまうと、後々予期せぬトラブルに発展する可能性があります。

本記事で解説したポイントを参考に、外注先との間でしっかりと協議を行い、安心して業務を委託できる環境を整えましょう。

この記事が、図面外注における著作権と機密保持に関する不安解消の一助となれば幸いです。

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